<鞣しとは>
動物の皮は生のままでは、そのまま乾燥させただけではカチカチにかたまってしまう。動物の体から剥がした原皮から毛や脂肪を取り除き、製品として使えるよう、乾燥しても柔らいかい革にするために行う処理を「鞣し」という。皮の主な組織であるコラーゲン繊維に化学処理を施すことで、熱や光、微生物などに対する安定化を図り、柔軟性や耐久性を高めるなどの役割がある。皮を変質させる鞣しの方法は、鞣し剤の種類によって下表の3つの方法が現在の主流となっている。その作業工程は、鞣しを行う前の下準備(洗浄や下地の調整など)、鞣し(薬剤により処理や整形、着色など)、仕上げ(塗装など表面加工など)の3つに大きく分けられる。
<鞣し工程>
- 原皮〜水洗い 動物からはいだ皮は塩蔵などの防腐処理をされ、鞣し業者(タンナー)のもとへ届く。塩分やゴミ、汚物などの取り除くため、大きなドラムの中で大量の水で水洗い、水を交換して水浸けする。新鮮な皮の状態に戻る。
- 裏打ち〜脱毛・脱灰〜酵解 皮の内側(肉側)についている皮下組織を除去する工程が裏打ち(フレッシング)。その後、石灰に漬け、不要な毛や脂肪を分解除去してから、石灰分を取り除く脱灰、酵素を用いて銀面を整える酵解を行い、鞣しに適した状態を作る。
- クロム鞣し 下処理をした原皮をクロムの薬剤(塩基性硫酸クロム鞣剤)が入った大きなドラムに入れ、回転させながら浸透させる。ここでクロムとコラーゲンが結合して皮が革になる。
- 水絞り〜シェーピング 余分な水けをローラーで絞っッタあと、革の内側を再び削って用途に応じた厚みに整える。続いて染色の下準備として、酸性に傾いた革を中和させる。用途に応じてここで再鞣しなどが行われることもある。
- 染色〜加脂 クロム剤により青白くなった革に染料で色付けをする染色、革に再び油脂分を含ませて柔軟性や耐水性を向上させ、光沢を与える加脂を行ったのち、機械でしわをのばす。
- 乾燥・整え 自然乾燥または人工乾燥で乾かしながら寝かせ、染料や加脂剤を定着させる。乾燥後、再び水を含ませ、乾燥でかたくなった繊維をもみほぐし柔軟性を与え、風合いを調整するバイブレーション工程を行う。
- 塗装〜表面仕上げ 用途に応じ、革の表面に塗料による塗装や型押し、アイロンによるつや出しなどを行う。仕上げの種類はさまざまあり、革にいろいろな表情を作り出せる。
- 計量〜出荷 革の面積を測る計量、検品、梱包として出荷される。
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【令和3年3月31日】
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